嵯峨野会員による上梓書籍


句集「影絵の狐」  島本方城 2023/2  ㈱信天堂  2005年~2022年

 

 

 十選句は後日掲載 

 

 

 

 

 

 


「佐野基雲 遺句集」 2022/12/17 手作り

 

 故佐野基雲氏を偲び、薫陶を受けた澤田治子氏の熱意により、中島顧問の手作りによる心温まる句集です。

  小藤康人、鈴木檸檬、澤田治子 選

 

   隠し湯の掟三行山笑ふ          放牧の牛の反芻雲の峰                                        

   霾や鰊番屋の古時計           竿燈の撓みに漢腰を据ゑ

   起き笹に日照雨走れり北の春       屋号なき掘立小屋の西瓜売

   船外機うなる釣舟青葉潮         雁渡し番屋の釘に雨合羽

   海鳴りに馴れて旅籠の夏料理       落し水終へたる夜の静寂かな

 


 「桂」 中村優江  2022/12/17 (株)文學の森

  

  自選十句

  夫の手の大きと思ふ桜餅          ふくろふの恋し恋しと鳴く夜かな

  福助の鼻のあたりや春の塵         樏を戸口に並べ無人駅

  師の句碑に一礼をして濃あぢさゐ      棟梁の目立たぬ色の冬帽子

  にはとりが覗いてをりぬ日向水       凍蝶の我が手かざせば動きけり

  砂日傘大空包みたたみけり         観音の里や大根よく育ち

  


「さくら」 第三集 小平さくら句会 2021/1/吉 小林新聞印刷 

 

小平さくら句会11氏による句集です。

 

 山あざみ  中野 東音   知 足  梅原 清次   アンネの薔薇 北村加代子 

 萩の花   澤野須美子   夏帽子  椎名 陽子   枯葉道    塩出 翠  

 水芭蕉   鈴木 利博   初 桜  二見 歌蓮   ドイツリード 中村喜久子 

 竹の春   野村 佳子   菖蒲湯 (栗林百合香) 


「大石  懋 遺句集」 2021/11/1 手作り

 

故大石懋氏を偲び、中島同人会長の手作りによる心温まる句集です。

句会の皆様からの追悼句も掲載されています。

 

故郷ははるかとなれり土筆摘む    郭公やしみじみ余生考へる    木枯や多摩の山なみ透きとほる  

句会への道を楽しむ木の芽晴     秋天へ登る思ひや本門寺     年用意妻の指図のきびきびと

何見るとなく晩春の河に立ち     鉦叩夕べの椅子に深くをり      「嵯峨野」

新緑の湧き立つ道や足軽く      夜の山のひしと迫れる残暑かな   令和三年九月号「五風十雨」より転載


「走馬灯」 岩田素岳 2021/6/6 (株)文學の森

 

朝飯の白さ眩しき敗戦日           

逆縁の通夜となりたり虫すだく        捨てるもの捨てて涼しき余生かな

墓洗ふ母ありし日の悔いひとつ        言ひたきを言はで囲炉裏の灰均す

玉入れの最後は高く秋空へ          船頭はをとこまさりや蘆若葉

空席に西日乗せゆく路線バス         闇すくひ闇を払うて盆をどり

叱られて子猫返しに行くをさな        舫ひ船ぎいと相寄る星月夜

 


「無伴奏」 松尾憲勝 2021/6/吉 喜怒哀楽書房

 

ホルン吹く青嶺に息のとどくほど     労らひの言葉みじかく案山子抜く

混沌と湖にひのある懐手         裸木の影はユトリロひた歩く

まんさくの花の盛りの微笑仏       東京の空が真つ青大試験

背伸びして盆提灯を吊るしけり      山歩く十一月の日をまとひ

時雨傘振って観音堂に入る        青き踏む実朝の海見ゆるまで

 


「八 月」 才野 洋 2021/4/3 (株)文學の森

 

   八月や海を見るため丘に立つ       割れさうな十一月の夕焼かな

   八月や路面電車の走る街         吾が胸を年新しき鼓動かな

   屋上へ秋の扉の開きをり         紫宸殿南庭に差す立夏の日

   東京を聖橋より見る暮春         大川を抱き浪速の夏深し

   石臼や晩秋の音たてながら        目を開けて瞑りて花を待つてをり

 


「蛍」 西川豊子 2020/4/6 (株)文學の森

 

重さなき蛍わが掌を灯しけり         秋冷の虚空見詰むるゴリラかな

決断は吉となれかし雁渡る          アンネてふ薔薇に溢るる日差しかな

天地の滋味いただけり七日粥         曳き初めや路地いつぱいに鉾揺れて

秋水の全き金閣映しけり           冬晴や古木の疵に滲むもの

母の日の母ならぬ身の置きどころ       玉子焼少し冷めたる春の夕

 


「昨日今日」 中島勝彦 2019/9/8 (株)文學の森

 

晩年の或る日沖ゆく鯨かな         灯取虫見つめる父を抱き起こす

春の海つかみどころのなき真昼       ぼろ市に並ぶこの世の忘れもの

海昏れて浴衣の風となりにけり       三が日無声映画のやうに過ぐ       

入学児ランドセルより手足出す       潮騒の届く生家の端居かな

老父母の静かな日日や寒の餅        蟬時雨ときをり他の音を入れ

 


「俳句の勉強」 中島勝彦 2019/9/8 (株)文學の森

 

著者が嵯峨野俳句会で長年俳句を勉強されてこられた中で、上達の手引きとなる事柄や、

心に残った文章などを書き写してこられた三十冊に余るノートがございます。その中から

精選した内容を系統的に整理されて、読者に大変解り易く構成された実践的な本となっています。

 

「もともと自分の勉強のために・・・・

句作りで迷った時、本書が指針となり皆様のお役に立てれば幸いです。」(著者)


「ステラ・ポラリス」 植松紫魚 2017/1/30 かまくら春秋社

 

あの日、ぼくらを導いてくれたもの

遠のくほど、鮮やかに甦る胸の奥の鼓動

心に残る幼き日からの思い出、アメリカでの日々を振り返り綴る


「銅 鑼」 関 淨山 2017/1/1 (株)文學の森

 

はや銅鑼を打ちて客来る年始め      沢蟹の這いずつて渓登りけり 

蒼然と長押の槍や春の朝         蕎麦掻や夫唱婦随の箸太し

子ら帰りうたげ果てたり雛祭       冬近しまだ老ゆまじと薪を積む

一湾の光を掬ふ白魚網          艶まして黒き小石や秋深む        

山里に春の夕焼明日励まむ        見慣れたる欄間の富岳年守る       

金婚を遥かにしたり心太         

 


「冬の石」 才野 洋 2015/12/17 (株)文學の森

 

ひたすらに乾いてゐるや冬の石       風少し受けて昼寝の足の裏

雲の峰吾は親父の子なりけり        座布団の厚さ二センチほどの春

鰭酒や今夜でたたむ店にゐて        風つかみそこねてばかり雪柳

はみださぬほどの体を蒲団かな       母の日の電話に嘘をまじへつつ

梅雨寒や荷として豚の運ばれて       燕太郎二郎三郎巣立ちけり

 

 

 


「黎 明」 第十三句集 黎明・早蕨句会 2014/12/1 石田大成社

 

黎明と早蕨の両句会36氏による共同句集です。

 阪田 昭風  才野 洋   青木 テル  池田 小鈴  石井 紫陽  石堂 初枝  岩田 素岳 

 鵜沼 龍司  大野布美子  岡田 成子  小川加代子  梶本 圭子  亀山利里子  川嵜千代子 

 岸本 弘子  吉瀬 秀子  北村勢津子  小堀 富子  小室 文男  清水侑久子  清水 寛子 

 高橋 久江  竹中 幸子  多勢百合子  谷田アイ子  土井れい子  萩原 胡蝶  萩原 松造 

 平林 敬子  本多 久子  伯耆 惟之  満薗 芳枝  森實万佐子  薮下 美枝  山本そよ女 

 横田 晴子


「冬ざくら」 上達久子 2013/1/17 (株)文學の森

 

哀歓も過ぐれば淡し冬ざくら

新年の一歩千年杉のみち         風吹けば富士のゆらめく炎天下

鴨川の瀬音高鳴る宵まつり        坪庭に母のおもかげ春日傘

十国を見渡し炎暑はるかにす       ふらり来て伊豆はほのぼの冬ざくら

切り岸をのぼる怒濤や夏終はる      山の風山へ戻りし良夜かな

青春は遠し湖上のサングラス       昔日の見ゆる雛の灯点しけり

 


「四 温」 阪田昭風 1994/2/25 (有)本阿弥書店

 

母の手に触れて帰りし四温かな       菊の香や母の一語を胸底に

朝顔の咲き定まりて力あり         春の雪松に降りつつ消えにけり

一本の松たかだかと十三夜         生返事責められいたる薄暑かな

鶏頭の辺り明るき小雨かな         秋風の甕に溢れし山の水

古草をさしとほしゐる朝日かな       空になる風ありにけり初鰹