読者が選ぶ今月の感銘、共感した一句の上位句を掲出しています。
令和7年 2月号 | |||
唐詩選閉づ夕顔のひらくころ | 中島 勝彦 | ||
令和7年 1月号 | ||
炎天のわだつみを行く空母かな | 中島 勝彦 | |
手になじむ父の形見の扇子かな | 青木 謙三 | |
一日をビールの泡に収めけり | 中島 勝彦 | |
丁寧に歳かさねたし桐の花 | 甲斐 梅子 | |
令和6年 12月号 | ||
古書店の灯しは低し梅雨に入る | 中島 勝彦 | |
病むことも生きる道草朝の虹 | 中谷 廣平 | |
長病みの妻へ団扇の風送る | 中山 克彦 | |
令和6年 11月号 | ||
泉湧く空の青さを押し上げて | 中野 東音 | |
老鶯や知足庵てふ我が栖 | 守屋 和子 | |
長生きは三文の得初鰹 | 森本 隆を | |
ポケットにいつかの一句更衣 | 大野布美子 | |
五月来ぬ時の止まりしままの町 | 天野 苺 | |
令和6年 10月号 | ||
花冷えや児に聴診器あたためて | 千代 博女 | |
いつまでも若い気でゐるチューリップ | 甲斐 梅子 | |
令和6年 9月号 | |||
白椿息吐くやうに落ちにけり | 中島 勝彦 | ||
何するも母の笑顔や梅香る | 𠮷田 鈴子 | ||
令和6年 8月号 | ||
菜の花やここで生まれた風を聴く | 日比野晶子 | |
薄紙を解けば雛の笑みこぼる | 太田 朋子 | |
その中に男が一人針供養 | 中島 勝彦 | |
飛石や寒さが足にまとひつく | 萩原 胡蝶 | |
種子といふ命のかたち春を待つ | 伊藤 泰山 | |
泣き虫が語尾はりあげて卒園す | 伊藤 泰山 | |
令和6年 7月号 | ||
冬萌の里に瀬音の遠くより | 中野 東音 | |
みな老いを楽しんでゐる賀状かな | 中島 勝彦 | |
竜の玉まだすてきれぬ志 | 中島 勝彦 | |
余生とは言はず言はせず雑煮の座 | 橋本 爽見 | |
令和6年 6月号 | ||
一人居の灯してよりの寒さかな | 中島 勝彦 | |
地に返る軽さとなりて落葉降る | 小野田紀久子 | |
無人駅一人の下車の咳ひとつ | 橋本 爽見 | |
令和6年 5月号 | |||
父母のしらぬ傘寿や暮の秋 | 中山 仙命 | ||
まだ成せる事のあるはず天高し | 坂戸 啓子 | ||
小雪や久しく鳴らぬ黒電話 | 𠮷本 海男 | ||
父と子とあのねの話初冬の湯 | 高橋 良精 | ||
老いて尚学ぶ家事あり今朝の冬 | 坂井 俊江 | ||
令和6年 4月号 | ||
思ひ出に始まる母と子の夜長 | 北尾 鈴枝 | |
表札に夫の筆あと秋深し | 甲斐 梅子 | |
父母こゆる齢いただき今日の月 | 望月 郁子 | |
令和6年 3月号 | ||
たんたんと流るる暮し走馬灯 | 上達 久子 | |
花芒さみしきときは野を歩む | 高杉みどり | |
肩車の小さき手の捥ぐ林檎かな | 須﨑咲久子 | |
令和6年 2月号 | |||
武蔵野にふくらむ入日橋涼み | 中野 東音 | ||
走馬灯みんな回つてみんな影 | 亀山利里子 | ||
さらさらと風の文字生む稲田かな | 中谷 廣平 | ||
令和6年 1月号 | ||
紫蘇もんで生命線の染まりけり | 山下 千代 | |
令和5年 12月号 | ||
月下美人月の色してひらきゐる | 北尾 きぬ | |
あるがまま生きるは難し濃あぢさゐ | 甲斐 梅子 | |
俎板の音にも夏のきてをりぬ | 山下 千代 | |
羽虫すら潰せぬ指よ沖縄忌 | 中島 佳代 | |
令和5年 11月号 | ||
日を水のごとくに湛え柿若葉 | 橋本 爽見 | |
捨てきれぬものに埋もれて更衣 | 譲尾三枝子 | |
百姓のまねして余生茄子を植う | 吉瀬 秀子 | |
米粒が星になる朝花南天 | 矢倉 美和 | |
令和5年 10月号 | ||
春風もまぜて田んぼのにぎり飯 | 梅田喜美恵 | |
亀鳴くや親より永く生きてをり | 小野田紀久子 | |
山笑ふ野仏の手に五円玉 | 桜井 京子 | |
令和5年 9月号 | ||
黒髪をゴムで束ねて卒業す | 中村 優江 | |
紙風船言えぬ言葉を吹き入れて | 中谷 廣平 | |
蛙鳴く私の妻を呼ぶ如く | 𠮷本 海男 | |
老人と老犬とゐて春眠し | 森本 隆を | |
マフラーの中なら好きと言へるのに | 島本 方城 | |
母逝きし後のしづけさ春の雨 | 𠮷田 鈴子 | |
令和5年 8月号 | ||
早春の日差しをすくふオールかな | 中島 勝彦 | |
菜の花に巨船ゆつたり浮き沈み | 田中 京子 | |
うちの子になる運命の子猫かな | 大野布美子 | |
令和5年 7月号 | ||
みちのくに不老不死の湯雁供養 | 久留宮 怜 | |
一病と和して闘ひ去年今年 | 橋本 爽見 | |
蒼天へ透く蠟梅の香りけり | 須﨑咲久子 | |
霜柱踏むや地球の窪む音 | 山根 征子 | |
令和5年 6月号 | ||
米寿越す我に夢あり日記買ふ 池内千恵子 | ||
ままごとのかかあ天下や木の実飯 島本 方城 | ||
玄関の大きなこけし雪の宿 山本そよ女
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惠弘尼の太き筆跡山眠る 磯部 洋子
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令和5年 5月号 | ||
死はいつも身近にありて煮大根 | 橋本 爽見 | |
老医師の一言やさし冬銀河 | 村田 近子 | |
一葉落つ時の流れをゆらしつつ | 中島 勝彦 | |
逝きし人の写真見直す夜の長し | 千代 博女 | |
境内の光あつめて銀杏散る | 村田 近子 | |
冬落暉あす閉店の文具店 | 横川 節 | |
令和5年 4月号 | ||
ふるさとへ各駅停車花すすき | 中野 東音 | |
白菊を活けて微かな風を知り | 高杉みどり | |
余生とは今生きること大花野 | 桜井 京子 | |
山からの風の乗せくる秋の声 | 北尾 きぬ | |
路地裏に昔をさがす秋の暮 | 光畑あや子 | |
令和5年 3月号 | ||
人愛しひとに愛され秋深む | 伊藤 道子 | |
くつきりと雲寄せつけず今日の月 | 貴志 治子 | |
玉入れの玉は赤白天高し | 中村 優江 | |
句を学ぶ一人ひとりの良夜かな | 橋本 爽見 | |
猫の目と出あふ抜け道星月夜 | 大野布美子 | |
同年の患者親しき秋の窓 | 高橋 浅子 | |
名月を追ひかけて行く列車かな | 平林 敬子 | |
令和5年 2月号 | ||
砂浜の砂を均して秋の風 | 吉瀬 秀子 | |
夢あらば老いも青春今日の月 | 中谷 廣平 | |
令和5年 1月号 | |
炎天や影は歩幅をはみ出さず | 梅原 清次 |
茄子漬の紫紺に染まる小さき幸 | 吉岡 杏花 |
千体の佛の中にゐて涼し | 村田 近子 |
アリスまだ戻れぬ頁明易し | 大野布美子 |
朝まだき山は濡れをりほととぎす | 相良 研二 |
墓洗ふ寺解散を詫びながら | 出口 凉子 |
令和4年 12月号 | |
合歓の花やさしい人になりに行く | 磯部 洋子 |
吊橋を引つぱつてをり蜘蛛の糸 | 橋本 爽見 |
日盛りをおろおろ賢治にはなれず | 中野 東音 |
明け易しこの世に長居して飽きず | 森本 隆を |
令和4年 11月号 | |
捩花を咲かせて婆の反抗期 | 譲尾三枝子 |
風薫る心の通ふ人のゐて | 守屋 和子 |
夏の雲摩文仁の丘の鉄の雨 | 松川ともはる |
令和4年 10月号 | |
藤房や風のもつれを風のとく | 北尾 きぬ |
ゆく雲に一句のそだつ暮春かな | 北尾 きぬ |
余命など人ごととして青菜飯 | 橋本 爽見 |
野仏の石にかへるやすみれ草 | 山本そよ女 |
逃げ水を追つてハーレーダビッドソン | 萩原 胡蝶 |
この家のものにござると軒燕 | 横川 節 |
令和4年 9月号 | |
水紋は風のあしあと春の池 | 大野布美子 |
タクシーの隠れて休む花の昼 | 中山 仙命 |
大樹の枝もろともに剪定す | 町田 珠子 |
令和4年 8月号 | |
手のひらにつつむ命や寒卵 | 中島 勝彦 |
ただいまの声一人づつ日脚伸ぶ | 梅原 清次 |
雪形の駒痩せてゆく遠嶺かな | 久留宮 怜 |
山里に古代の神や木の根開く | 中村 優江 |
俳縁を大事に菊の根分かな | 村田 近子 |
告白はしてみたかりき囀れり | 服部 史子 |
蒼海へなだるる崖の野水仙 | 須﨑咲久子 |
令和4年 7月号 | |
靴下買ひ寒卵買ひ母見舞ふ | 山本知恵子 |
湯たんぽは母の遺品や膝に抱く | 中村 優江 |
透きとほる朝の静寂や梅ひらく | 甲斐 梅子 |
令和4年 6月号
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かたくなになってはゐぬか花八つ手 | 橋本 爽見 |
冬ざれや五百羅漢の黙五百 | 中島 勝彦 |
大根煮て余生楽しむ心持 | 竹内 久子 |
生きて居ることが仕事よ日向ぼこ | 山下 千代 |
令和4年 5月号
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祈るとは今生きること秋終わる | 吉岡 杏花 |
大熊手見上ぐる人を分け行きぬ | 中島 勝彦 |
声明の揃ふ静かさ十夜寺 | 北村勢津子 |
行く秋や流れのごとく年重ね | 小野田紀久子 |
湧き水の砂の踊りや小六月 | 中畑 耕 |
小夜時雨写真の母の聞き上手 | 野島 玉惠 |
令和4年 4月号
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十三夜日本一の妻は亡く | 橋本 爽見 |
コスモスの風や畝傍へ香具山へ | 池田 洋子 |
煙なき暮しになれてさんま焼く | 谷田アイ子 |
令和4年 3月号
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四五軒の里を彼方にそばの花 | 貴志 治子 |
露けしやとにもかくにも米寿越え | 橋本 爽見 |
ひぐらしや若狭へ続く十八里 | 山本そよ女 |
令和4年 2月号
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老ゆるとは知恵を積むこと竹の春 | 吉岡 杏花 |
立秋やどこへも行かぬ紅をさす | 中村 優江 |
かなかなの息ととのへる間合かな | 中島 勝彦 |
終戦日空の青さをくちぐちに | 松尾 憲勝 |
初めての句会へ秋の橋渡る | 塩路けい子 |
令和4年 1月号
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花茣蓙の花を枕のひと寝入り | 大野布美子 |
どこまでも自転車でゆく夏休み | 寺崎 智子 |
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